2018年にモデルチェンジし、現行モデルのスタイリングへと進化した『ニンジャ250』。登場時にオートポリスで開催されたサーキット試乗会でのインプレッションはどうだった?

<試乗インプレ>KAWASAKI Ninja250(2017年)

Kawasaki Ninja250(2018~2022)

画像: <試乗インプレ>KAWASAKI Ninja250(2017年)

文:太田安治
※この記事は2017年12月25日にwebオートバイで公開されたものを再構成した記事です

まるで排気量が増えたような力強さと好セッティングの車体

画像: ※写真はニンジャ250 KRTエディション(2018)

※写真はニンジャ250 KRTエディション(2018)

今回の試乗会はサーキット(オートポリス)で行われたが、まずはコースの外周路を一般路に見立て、公道走行ペースでチェック。前モデルは重心が低いフィーリングで、見た目の印象に反してしっとりしたハンドリングだったのに対し、新型は寝かし込みや切り返しが軽快で初期旋回力も高まった。

車重が軽くなったことも効いているが、新設計された車体の剛性バランスとライディングポジションのアップライト化、OEMタイヤの変更(試乗車はダンロップGT601)が大きいだろう。低速域でフロントが重い感じが解消され、ギャップ通過時の突き上げも減った。

画像1: まるで排気量が増えたような力強さと好セッティングの車体

加えて正立フォークの適度な剛性が上質な乗り心地を生んでいるし、倒立フォーク採用車よりもハンドル切れ角を大きく取れる。こうした要素によって、市街地でのハンドリングと扱いやすさが向上している。

しかし、個人的に興味があるのはエンジンのキャラクター。前モデルは高回転で胸のすくような伸びを見せる反面、低中回転域での反応が眠たげで、ライバル車に比べると発進加速も鈍め。パワーバンドを保てれば気持ち良く走れるが、高回転域を使うことに躊躇するビギナーには扱いづらい面もあった。

画像2: まるで排気量が増えたような力強さと好セッティングの車体

その点、新型も回転上昇に応じてパワーが盛り上がるスポーツライクな特性に変わりはないが、低中回転域でのレスポンスがダイレクトになり、停止状態から発進するときと登り坂では明らかに力強い。前モデル以上に高回転・高出力型だが、排気量が2割ほど増えたような感覚。これは新設計エンジンのフレキシブルな特性とフリクションの少なさ、そして車体の軽さの合わせ技だろう。

オートポリスのコースを走るのはほぼ初めてだったので、3〜4周はラインとペースが判らず、メリハリもリズムもない走りだったのだが、突っ込み過ぎて寝かしたまま強めにブレーキをかける状況でも唐突な挙動の乱れはなく、落ち着いて対応できた。車体剛性と前後サスペンションセッティングの好バランスはこんな形でも実感できた。

画像3: まるで排気量が増えたような力強さと好セッティングの車体

コースに慣れてペースが上がっても、車体が部分的に捻れるような感覚はなく、車体全体が適度にしなって旋回性を生む。前モデルは高い荷重が掛かっているときにフロントタイヤの接地感が掴みにくく、タイトターンではアンダーステアに感じることがあったが、このあたりもきれいに解消され、タイヤのグリップ限界まで不安なく攻め込めた。

クラストップの39馬力(※試乗車は海外仕様・国内仕様は37馬力)だけに、8000回転以上のレスポンスは爽快そのもの。1万3000回転位まで使えるので、各ギアの守備範囲が広く、回り込んだコーナーや連続コーナーでもシフト操作を省け、ギア選択をミスしても失速しにくい。高回転でのパワーはもちろん、楽しくスポーツできる特性だ。

試乗車は海外仕様だが、国内仕様も大差はないはず。東南アジアと日本でニンジャ人気が再燃することは間違いない。

文:太田安治

webオートバイ記事公開日:2017年12月25日
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