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狙ったラインを狙ったとおりに
2018年、ニンジャ400の新登場と同時に進化を果たしたニンジャ250の最大の武器はおそらく『ゆとり』です。
決してヌルい意味じゃありません。例えばコーナーに飛び込んでいく、ブレーキをリリースして車体を曲げる瞬間。そこで焦らない。頼れるブレーキとしっかり感のあるシャシーは、もう一度、狙った走行ラインを再確認する余裕すら与えてくれます。
しかも、狙ったラインに車体を運ぶための微調整がしやすい。
あとすこし寝かせよう。もうちょっと車体を起こそう。
バイクを一気に寝かせていくのは、ほんの1秒とか瞬間のはずなのに、それを調整する余裕がニンジャ250にはあるんです。
度胸一発の飛び込みじゃない。あくまでバイクを人が操っている感覚が強い!

いわゆる、一体感というものだと思います。
先代モデルよりも絞り込まれたハンドルと、車体をホールドしやすいようにスリムに絞り込まれたタンクのニーグリップ部分。
そして、シートの変更も良い方向に作用していると感じました。

シート高は795mmで先代モデルと数値は同じ。だけど40mm肉厚になり、低反発ウレタンも採用されています。
このウレタンが良い仕事してくれます。バンク中のホールド感が強い。ライダーをきちんと支えてくれるんです。

ライダー身長/176cm
乗車姿勢そのものは、先代よりすこし前傾姿勢が強くなったように感じますけど、あくまでわずかの差。
でもおそらく、この差も走っている時の一体感に影響しているのだろうと感じています。
乗車姿勢って想像以上にハンドリングに大きな影響を与えるので……

ライダー身長/176cm
ちなみにシートは前方が30mm絞り込まれたことによって、先代モデルよりも足着きが良くなっています。
身長160cmくらいあれば、女性でも不安なく扱えると思いました。
操る楽しさをバイクがフォローする

強いフレームと頼れる足周りに加えての人車一体感。これがあれば、走りに自信が持てるのはどんなライダーでも同じことです。
そして、そこからは新しいエンジンの独壇場でした。
コーナーを立ち上がって、次のコーナーへ目指してスロットルを開放。最高出力37馬力へのパワーアップはサウンドでも堪能できます。高回転域のサウンドは、耳からもバイクで走る歓びを満喫させてくれるんです。
五感をフルに刺激する。これもカワサキ車らしさと言えるかもしれません。

そして何より、コーナーとコーナーの“つながり”が最高です。
レッドゾーンが肉薄するコーナー手前。そこでシフトアップするか、そのまま引っ張るか。その判断の瞬間にニンジャ250は「そのまま引っ張れ!」と言ってきます。
エンジンから感じる余裕が、そうすればいいと信じさせてくれるんです。
走らせかたに迷わない。このバイクは、いつも正しい判断を下すゆとりをライダーにくれます。

ハイパフォーマンス合戦みたいな様相になっている250ccフルカウルスポーツ市場ですが、そんな中で2気筒のニンジャ250は、他とは違う着地点を目指したのかもしれません。
カワサキのものづくりにはきちんとポリシーがあります。強さはそのデザインに、優しさはハンドリングの中に。
そうして生まれたニンジャ250は『操る悦びの塊』でした。
初代Ninja250Rがそうだったように、この時のニンジャ250はスポーツバイクの原点を感じさせます。
速さじゃない、大切なのはバイクで走ることそのものを楽しむこと!
単純に最高速やスピードじゃない。ワクワクさせてくれる。この頃からもうニンジャ250は完成の域になったのかもしれません。

カワサキはこの後も4気筒のZX-25Rを生み出すなどチャレンジを続けています。でもそれが生み出されたのはこれら2気筒のニンジャ250があったからこそ。
このバイクの大人気こそが、今日に至る礎です。
バイクとしてスタイルも性能も良い。でもそれとは別に「カワサキらしさ」にも惹かれる。
そんなバイクが2025年の今日では、人気車だったことも手伝って中古市場ではタマ数も豊富。中には『え? この値段で買えちゃうの!?』と驚くほどの個体もあります。
そう考えると……
実はニンジャ250って、中古で狙う250ccフルカウルスポーツとして『本命バイク』なのかもしれませんね!