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自由に遊べる魅力はそのままにトリッカーが帰ってきた!『YAMAHA TRICKER』#試乗インプレ(2019年)
Tricker XG250(2019)
文:太田安治/写真:森浩輔、南孝幸
※この記事は2019年2月28日にwebオートバイで公開されたものを再構成した記事です。
バイクを操ること自体を堪能できる楽しい相棒
その車名と、オフロードモデルともオンロードモデルともつかないルックスのせいか、キワモノ的なイメージを持たれがちなトリッカー。
実はエンジンやフレームはセローと共通。セローと大きく異なるのは外装デザイン以外ではフロント19、リア16インチのホイールと舗装路向きのタイヤ、それを支える前後サスペンション。
と書き出すと、まるでオフ車ベースのモタードモデルのようだが、そうではない。
トリッカーのキャラクターは「ストリートからオフロードまで幅広く遊べるファンバイク」という、他車にはない唯一無二のものだからだ。
トリッカーが最も得意とするのはエクストリーム的なアクションライディング。
127㎏という軽い車重、特に低中回転域でスロットルワークに対する反応がリニアなエンジン特性、ピッチングモーションを積極的に使えるストロークの長いサスペンションを活かして、ウイリーやジャックナイフ/ストッピーといった小技の習得にはもってこいだし、スキルのあるライダーならウイリーサークルやバニーホップといった大技も決められる。
最近のオートバイはデザインが優先されているためか、凝った形状が多い外装パーツはちょっとした立ちゴケ程度の転倒でもあちこちが傷付いたり割れたりしてしまいがちだが、このトリッカーはハンドル回り以外のパーツが車体に沿っているので、ダメージを受けるのはハンドルバーと左右のレバー程度。
ビギナーが操縦技術を練習するときに余計なプレッシャーを感じず、思い切って操作できることも、最近のオートバイが失ってしまった大きな魅力だ。
とはいえ、実際は軽さと乗りやすさを活かし、通勤通学を含めたストリートコミューターとして使われていることが多い。
セローと共通のエンジンで発進加速の力強さは文句なしだし、衝撃吸収力の高い前後サスで乗り心地も上々だ。
軽二輪なので高速道路も走れるが、短めのホイールベースとセミブロックタイヤのため80㎞/h以上では直進安定性に不足を感じる。
都市高速程度なら問題ないが、高速道路を使った長距離走行は得意ではない。逆にオフロードの走破性は高く、左右48度のハンドル切れ角でトライアル的な走りもできる。
どんなレベルのライダーでも操る楽しさを堪能できるモデルを作り続けるヤマハの姿勢は素晴らしいと思う。
文:太田安治/写真:森浩輔、南孝幸
webオートバイ記事公開日時:2019年2月28日
掲載記事は記事公開時点の内容であり、時間の経過などに伴って内容に不備が生じる場合があります。ご了承ください。