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フロント10インチのクイックさを継承する大人のシティコミューター!【SUZUKI SWISH(スウィッシュ)】
SUZUKI SWISH(2018)

文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南孝幸、森浩輔
※この記事は2018年8月14日にwebオートバイで公開されたものを再構成した記事です。
スズキ車の魅力である「通勤快速」ぶりは健在
スウィッシュの洗練されたスタイリングは上質感があるが、乗ると『通勤快速』として名を馳せたアドレスシリーズのDNAがしっかり受け継がれていて、スズキらしい質実剛健なオートバイ作りは全くブレていない。
車体はアドレス125よりも全長が70mm短く、全幅はほぼ同じ。車重は5㎏ほど軽く、PCXやNMAXに比べると明らかに軽量コンパクトだ。このあたりは前後10インチという小径ホイールの採用も大きく影響してるはず。取り回しの良さはズバ抜けている。

試乗前にスペックを見て気になったのはアドレス125と変わらない9.4馬力というパワー。トルクの発生回転数を見ても、特に低回転トルクを重視したタイプではないから、12馬力のPCXとNMAXに対して動力性能は不利に思える。
ところが、乗り比べると引けを取らないどころか、ゼロ発進から60㎞/hまでがとにかく速い。クラッチミートは約3000回転で、スロットル全開時は最大トルク発生回転の6000回転をキープして元気いっぱいの加速を見せる。
パワー/トルクのピーク値だけでは判断できないエンジン特性と、絶妙な変速セッティング、車重の軽さの合わせ技といったところ。最高速もライバルと大差ない。カタログ数値で判断するのは早計だ。

試乗前にもう一つ気になったのがハンドリング。アドレス110は前後14インチ、125は前12、後10インチホイールを採用しているが、スウィッシュは前後10インチで、アドレスV125と同サイズ。
荒れた路面では安定性不足になりがちだが、新設計の車体が低重心化されていることと、前後サスペンションのグレードを高めたことでアドレス125と同等以上のスタビリティを見せる。
意図的に大きなギャップを超えると小径ホイールのピョコピョコ感が出るが、日本の市街地の道路状況なら何ら不安なく、むしろ小径ゆえの軽快性が前面に出ている。
装備面も豪華さを演出するのではなく、通勤通学といった現実的な使用環境下での実用性を最優先したもの。個人的にはフラットなフロアボードの実用性も評価したい。自動車で言うなら、必要な装備を完璧に備えたスタイリッシュなバン。この路線で勝負に出たスズキの戦略は大正解だと思う。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南孝幸、森浩輔
webオートバイ公開日:2018年8月14日
※掲載記事は記事公開日時点での内容であり、時間の経過などに伴って内容に不備が生じる可能性があります。ご了承ください。