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【原付二種】ホンダの第3世代「PCX」は抜群の完成度!<試乗インプレ>(2018年)
HONDA PCX(2018)

文:太田安治
この記事は2020年5月12日にwebオートバイで公開されたものを再構成した記事です。
抜群の完成度に加えて燃費も良くなった優等生!
原付二種のスクーターは各種の交通規制で利便性が薄れた50ccスクーターや、大柄な車体で機動性を欠く250ccスクーターからの乗り換え需要もあって好調なセールスを続けている。
その多くは取り回しやすい小柄な車体と加速力を重視した動力性能を備え、通勤・通学のような短距離移動を主眼に置いた質実剛健な造りが特徴だが、ひと味違うキャラクターで人気を博しているのがPCX。
しっとりとしたハンドリングと動力性能、ゆとりのあるライディングポジション、使い勝手のいい実用装備の豊富さなど、移動の足にとどまらない上質感が魅力だ。

今回の新型で大きく変わったのはアンダーボーン型からダブルクレードル型になったメインフレーム。これで車体剛性が高まり、3kg近い軽量化も果たしている。
40km/hを超えたあたりからハンドリングの応答性が良くなっていることが判るし、コーナリング中にギャップを通過した際や、素早く切り替えしたときの前後タイヤがバラバラに動くような挙動が明らかに減り、全体にシャッキリしたハンドリングになった。
ただ、125cc車の常用速度域や日本の道路状態、二人乗り頻度の少なさを考えると、サスペンション設定はもう少しソフトなほうが快適。
欲を言えばリアサスにイニシャル調整機構が欲しいところだ。
PCXが好評を得ている理由の一つに、変速設定の巧みさが挙げられる。

小排気量スクーターはエンジンパワーを有効に使うため、発進時に高めの回転で遠心クラッチが繋がり、フル加速中は最大トルクを発生する回転域を保つ車種が多い。
これはキビキビ走りには有効だが、常に高めの回転を使うのでせわしなく感じるし、燃費の低下も招く。
その点、PCXは過不足のない発進加速性能と低速走行時のジェントルさをバランスさせた設定。アイドリングストップ機構と併せ、街での実燃費がいい秘密はここにある。
しかも新型は高回転域でのパワーが増強され、追い越し加速も力強くなった。

左レバーを握るだけで前後ブレーキが作動して効果的に減速するコンビブレーキの設定も絶妙で、普段使いなら右レバーに触る必要もない。ブレーキング時の挙動が安定していることも大径ホイール採用のメリットだ。
125ccクラスらしからぬラグジュアリー感と、ちょうどいい動力性能を底上げした新型PCX。完成度の高さは群を抜いている。
文:太田安治
webオートバイ公開日:2020年5月12日
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