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愛車と長く付き合いたいと考えてるならホンダ「CT125・ハンターカブ」はおすすめの1台【試乗インプレ・車両解説2020】
HONDA CT125・Hunter Cub(2020)

日本中が待ちに待った、新生ハンターカブ・CT125が6月26日に発売された※。往年のCTシリーズのDNAを受け継ぐスタイルだけでなく、トレールモデルとしての本格的な造りや高い走破性も大きな魅力。その実力がどんなものか、市街地からダートまで徹底試乗してきたぞ!
※2020年時点での内容です。
文:太田安治/写真:南孝幸、柴田直行
※この記事は2022年9月17日でwebオートバイで公開されたものを再構成した記事です。
上質で丁寧な造り込みと走破性の高さが嬉しい
原付二種(排気量50cc超〜125cc以下)クラスは現実的なミニマムトランスポーターとしての存在意義に加え、スクーター以外にも趣味性の高いモデルが増えたことで販売台数が好調に推移している。その「原二」人気を加速させること間違いなしのニューモデルがCT125・ハンターカブだ。
ハンターカブのルーツは1963年に登場したC105H。ベースのスーパーカブ55からレッグシールドを取り去り、悪路走破用にブロックタイヤとアップマフラーを装備した独自のコンセプト、ルックスが話題になった。1968年に副変速機付きのCT50が、1981年にはCT110が国内販売されたが、どれも日本国内では「異色のモデル」といった存在で、商業的にヒットしたわけではなかった。

Honda HUNTER CUB C105H(1963年)
今回CT125が登場したのは、タイを始めとするアジア市場の成長を見据えてのこと。アジアではハンターカブは導入されなかったので知名度は低いが、スーパーカブC125が洒落た高級ストリートモデルとして人気なことを踏まえ、SUVモデル的なコンセプトで企画されたのだろう。これに日本の原二ブームがタイミング良く重なったのだ。
かつてのCT50やCT110に乗ったことがある僕から見ると、CT125はひと回り大きくてガッチリした印象だが、無骨ささえ感じさせるルックスはまさにハンターカブ。エンジン始動用のキックペダルも備えるが、通常はセルスタート。C125とは違った太い排気音をアップマフラーから響かせる。

前側のシフトペダルを踏み込み、アクセルを開けるとグイッ! と力強く動き出す。エンジンはタイで販売されているWAVE125用がベースで、C125より低回転/高トルク型の特性で、発進加速、登坂性能は力強い。
タコメーターがないため音と加速感を頼りにシフトアップ。1速のギア比がショート(加速型)なので、動き出したら早めに素早くシフトアップすると遠心クラッチ特有の変速ショックが抑えられる。シフトダウン時にはさらに大きなショックを与えてしまいがちだが、マニュアルクラッチと同様にシフトダウンの瞬間にブリッピング(素早くスロットルを開閉する操作)してやればスムーズだ。

ただ、ペダルを踏み込んでシフトアップというパターンゆえに、通常のマニュアルミッション車から乗り換えると戸惑う。「慣れてください」ではホンダらしくないから、ギアポジションインジケーターは装備して欲しかった。最終減速比もショート設定なので最高速は100km/hを超える程度。もちろん、街乗りにはまったく不足はない。
荷物の積載を考慮したスーパーカブはリアサスのスプリングがかなり硬めだが、CT125はストロークを有効に使えるソフトめのセッティング。身長180cm近いライダーだとシート後端に座るのでポジションの自由度が制限されるが、肉厚のシートで乗り心地は快適。あえて弱点を挙げるなら、細かな振動で長時間乗ると手がしびれるぐらいだ。

気になるオフロード走破性だが、タフなルックスから受けるイメージを裏切らない。しっかりストロークを確保した前後サスペンション、165mmの最低地上高により、トレッキングペースなら大きめのギャップ越えで下回りを打つことなく進んでいける。
オン/オフ両用タイプの純正タイヤはぬかるんだ場所だとタイヤの溝が泥で埋まってグリップが落ちるが、乾いた土や砂利なら大丈夫。ブロックタイヤに交換すれば、よりハードな状況の林道ツーリングも楽しめる。マフラーは出口の高さが約65cmあり、多少の水深なら走破できそう。電装系トラブルを起こす可能性があるので推奨はできないが、これも心強いオフロード性能のひとつだと思う。

僕がオーナーなら、グリップヒーターをつけ、振動対策に重いバーエンドウエイトを組み合わせる。ハンドルにスマホマウントと市販のギアポジションインジケーターを装着すればストリート仕様としては万全。さらに大きなシートバッグをリアキャリアに載せ、景色や田舎の空気を楽しみながらトコトコとツーリング、という夢想もしてしまう。
「125ccで44万円は高い!」という声もあるが、CTの造り込み、上質な仕上げを見れば納得できるはず。しかも耐久性に定評のあるカブシリーズの一員だけに、間違いなく長く穏やかに付き合えるのだから。
文:太田安治/写真:南孝幸、柴田直行
webオートバイ公開日:2020年9月17日
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